BackToBasics
『アルティメットマスターズ』のフルスポイラーが公開されてから数日たった今、モダン、レガシー、統率者戦などの下のフォーマットに高い需要を持つカードの再録が確定され、市場では様々なカードの激しい値段変動がみられている。スポイラーに高額な再録カードが登場するとよくみられる光景である。

11月20日にフルスポイラーが公開された直後に、TwitterにてMTGファイナンス系ライターのJames Chillcott‏氏のあるツイートがTwitterやRedditで話題を呼んでいた。

訳『疑い深いのはいいが、MTGファイナンスで優位に立ちたければ、私の情報を疑うことに時間を無駄にしないほうがいい。信頼できる良い情報元に感謝だ。』

『インサイダー取引』を思わせる発言内容

ツイートにはChillcott氏がコンテンツクリエイターから提供された再録される高額カードの情報を持っていること、また『アルティメットマスターズ』には《基本に帰れ/Back to Basics》が再録されることを知っており、その情報を公式プレビュー前に共有したような発言がされたキャプチャーが投稿されている。
補記するとMTGのセットの発売前には、世界中のコラミスト、Youtuber、ブロガーといったコンテンツクリエイターへWizards of the Coast公式からその個人が公開するとなるカードの情報が送られ、クリエイターのプラットフォームでカードを公開していく期間の『プレビュー週間』というものが存在する。

彼はのちに《基本に帰れ》の情報の提供元は本スポイラー担当のコンテンツクリエイター直接からではなく、別の二次ソースからだと付け足した。ソース元はスポイラー担当に身近な人物かもしれないし、過去のリーク事件のように印刷工程で漏れたものかもしれない。もしくは多数のプレイヤーが《基本に帰れ》の再録を予想したように、ただ単に自身の書くファイナンス記事(彼が書いている
ファイナンスサイト、MTGPRICEの記事を閲覧するには会費が必要なようだ)への信憑性を上げるための『ハッタリ』という可能性も否定できない。結局のところ、情報元や実際に再録されるという情報をつかんでいたかという真偽性は不明である。

付言すると、このような『インサイダー取引』に似た行為はマジック:ザ・ギャザリングでは金融商品取引法に引っかかるわけでもなく、違法性もなく、ルールでも存在しない。「遊べる株券」との異名があるが、あくまでカードは株券ではないのだ。

暴落する再録カードの情報独占

再録発表前は$100あたりで取引されていた《基本に帰れ》も現在UMA版だと$30~$40程度で予約が可能だ。当たり前のことだが、印刷数が少ないことだけを理由に高騰しているカードは需要が満たされれば一方的に値段が下がる光景が多くみられる。基本セット2019に再録されたため価格が暴落した《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》《風景の変容/Scapeshift》が良い例であろう。
CrucibleofworldsScapeshift
今のところスタンダードでは活躍できていないこの2枚

このような急激な暴落を見せる可能性がある高額なカードがある限り、自身が持っている『資産』ともいえるほどに高騰したカードにまつわる未公開再録情報をもし、いち早く入手できれば誰だって一般公開後の暴落を見せる前に所持しているカードを売り払い、損失を最小限に抑えるか暴落後に買い戻す行動に移ることが容易に想像できる。

現在このような行動を処罰するような決まりはなく-そもそも一般プレイヤーには入手できる情報ではないが-、もしコンテンツクリエイターが身近な少人数にリークした場合でも決められた公開日外でフライングで大勢に公開しない限り、原因をスポイラー担当
クリエイターのみに絞り、特定し、処罰することは難しいと思われる。

リークするモラル、活用するモラル

上記に《世界のるつぼ》と《風景の変容》の例が出てきたが、今後ともスタンダードでの『基本セット』、『統率者』といった特殊製品、『マスターズセット』に変わる製品などに需要の高い高額再録カードは登場するかと予想される。

そのたびに『プレビュー週間』は行われ、コンテンツクリエイターには貴重な情報が提供されることになるだろう。難しい題材ではあるが、『プレビュー週間のインサイダー情報リークは今に始まったことではない』と語られる以上、
プレイヤー同士の公平性やカードショップといった流通市場の長期的な健全性が危ういとされる声が多く、もし実際にクリエイターたちからリークが発生しているのならばWizards of the Coastとコンテンツクリエイターの間の秘密保持をしっかりと守ってほしいといった声も同様に多くみられる。